【side弥生】




 俺とかよは、一心同体。

 それは俺たちにとっても――まわりにとってもそうだ。




「おーい、おはよ双子」



 教室につくと、鬱陶しい笑顔の海がいつものように声をかけてきた。

 こいつとは幼稚舎からこの学園に通う腐れ縁。

 何かにつけて俺たちに構ってくる男。

 ……まあ、俺たちが孤立しないように気にかけてくれているということはわかる。

 でも、そんなの別に……望んでない。

 いつもまとめて“双子”と呼んでくるこいつは、俺とかよの区別がつかないらしい。

 まあ、当然だろうけど。

 親戚も、親ですら俺たちを見分けられないからな。

 だから俺たちはいつも、“まとめて”扱われていた。

 それが嫌だというわけではなかったけど、今なら思う。……たぶん、諦めていただけなんだと。