「何俺に隠れて由姫のこといじめようとしてんだ……? 本格的に殺されてーのかお前らは」

「ち、違うよ拓ちゃん! 少し話してただけ!」

「……ほんとに? 何もされてないか?」

「うん! もちろん!」

「……ちっ。由姫、戻ろ」



 拓ちゃんに、強引に体育館のほうへと手を引かれる。



「弥生くんと華生くんも戻ろうっ」



 振り返ってふたりにも声をかけると、ふたり揃ってこくりと頷いた



「……うん」



 あれ? ふたりが、素直だ……。

 普段なら、「指図すんな!」とか言われるのに……。

 不思議に思いながらも、拓ちゃんに連れられるまま体育館に戻った。