「拓ちゃん、見ててくれてありがとうっ……」
さっきは拓ちゃんが注意してくれて助かったし、お礼を言っておきたかった。
「大丈夫だったか? つーか、足引っかけた女たち、俺がボコってやる」
やっぱり見てたんだっ……で、でも、ボコるなんて……!
「そ、そんなのいいよ……! それに、わざとじゃなかったかもしれないし……」
「いや、わざとに決まってんだろ?」
「で、でもいいの、ケガしてないから」
手を広げて、平気だよとアピール。
もしかしたら、何か事情があったのかもしれないし、誰にかに何か言われたのかもしれないし……。
「由姫は、どこまでもお人好しだな」
拓ちゃんは、そう言って困ったように笑った。

