心臓が……ぞわぞわする。

 自分でもよくわからない感覚に、眠気は覚めきっていた。

 少しして、女の規則正しい寝息が聞こえ始め、女のほうを見る。

 こいつ……また寝たのか。いや、こいつの部屋だから、俺がどうこう言う権利はないけど。

 知れば知るほど、変な女……。

 媚びを売るでもなく、怯えるでもなく……女にこんな反応をされたのは、初めてだ。

 何を考えているのか、さっぱりわからない。

 でも、こいつのそばは、なぜか心地よくて仕方なかった。

 できるならこのまま、ここにいたいと願った自分が恥ずかしすぎて、頭を押さえる。

 さっきから、自分が自分じゃないみたいで、気持ちわりぃ……。

 はぁ……とため息をついた時、無防備に置かれている女の手が目に入る。

 俺は無意識のうちに、その手に自分の手を重ねていた。

 ……温かい。