どんな意図で手を握られているのはわからなかったが、不思議と嫌ではなく、むしろ……どうして眠れたのか、あんな穏やかな夢を見たのかがわかった。
こいつが……手を握っていてくれたから、なのか。
普段の俺なら、そんな考えに至ることはないだろう。
でも……握られた手から、なぜか温もりが伝わってくる気がして、仕方なかった。
普通、女でも男でも、他の人間といる時は無意識に神経を尖らせてしまう。
まわりに敵が多いことも要因のひとつかもしれないが、昔から心休まるほど、気を置ける相手がいなかったから。
なのにこいつは……どうしてか、俺の危機感のセンサーがまったく反応しない。
会ったばかりの他人だぞ? しかも、女……。
いったいどうしたんだ、俺は……。
そう思った時、女の体がびくりと動いた。
メガネで目は見えないが、目が覚めたのか、ゆっくりと顔を上げ、女がこっちを見た。
「……っ!」
驚いているのか、ぽかんと口を開いた女。

