総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜




 俺のことを見る瞳には、何もない。

 媚びも、欲も、畏怖も、何も……。

 それが心地いいなんて思ったのは、熱で頭がおかしくなっていたからかもしれない。

 俺はぼうっとそんなことを考えながら、いつの間にか眠りについていた。

 久しぶりの深い眠りは、驚くほど安らかな時間に感じた。






「ん……」



 夢を見た。内容は思い出せないが、とても心地いい夢。

 目が覚めた時、自分が寝ていたという事実に気づき驚く。

 あれだけ眠れなかったのに、どうして。

 熱で辛かったから? 睡眠不足に限界が来たから?

 いろんな理由を考えたが、どうにもピンとこない。

 俺は少しの間ぼうっとしていたが、手に感じている違和感に気づいた。

 視線をそっちに向けると、すやすやと眠っている女が目に入った。

 そして、布団ごしに握られた手。