総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜




「は、はい。ありがとうございます」



 私はお礼を口にして、視線を前に戻す。

 校舎に入って廊下を進む。ある部屋の前で、舜先輩は足を止めた。 



「ついたぞ、由姫。ここが理事長室だ」



 立派な造りの扉の前、表札には舜先輩が言うように、理事長室の文字。



「ありがとうございました」



 ここで舜先輩とはバイバイかと思ったけれど、どうやら先輩も理事長室に入るようで、私の先を進んでくれる。

 三度ドアをノックし、舜先輩はドアノブに手をかけた。



「失礼します。編入生を連れてきました」



 中から、返答はない。

 しかし、先輩は重たそうな扉をいとも簡単に開け、私に入るよう促した。