「なあ、男子寮ってどういう意味かわかってるか?」

「ああ、もちろんだ。事務のほうで手続きにミスがあったそうでね。この部屋しか空きがなかったんだ。悪いが、半年だけ我慢してくれ」



 ……あー、頭が痛くなってきた。



「やめさせればいいだろ」

「編入をか? それは無理だ。彼女の学力を逃す指導者なんていないだろうな」



 意味深な言い方に、眉間にシワが集まる。

 そういえば、編入なんて聞いたことがない。たしか、この学園は実質編入不可能だったはずだからだ。

 それをクリアしたってことは、相当な学力の持ち主だろう。



「半年後には女子寮に空きが出るから、とにかく半年だけ我慢してくれ。頼んだぞ」

「うるさい女だったら殺すぞ」

「彼女ほどの優秀な生徒に逃げられては困るからな。くれぐれも優しくしてやってくれ」



 俺が女に優しくするわけがない、とわかっていながらの発言。