「ほんと、氷高は忠犬だな」

「あ?」

「怖い怖い。……それじゃ、また邪魔するな」

「一生来んな」



 海くんの言葉に、拓ちゃんが相変わらず辛辣な反応を返している。



「また明日ね拓ちゃん」

「あ、待って由姫。送ってく!」

「え……! い、いいよ!」

「いや、危ないし……心配だから」



 靴を履いて、家を出てきてくれた拓ちゃん。

 心配性だなぁと思うけど、拓ちゃんの優しさに笑みがこぼれた。



「こんな地味な女、襲う奴なんかいないだろ……」



 ぼそりと、華生くんの声が耳に届いて苦笑い。

 そ、そのとおりだよね……。



「いっぺん死なねぇとわかんねぇのか、この学習能力カス野郎は」



 正論だけど、拓ちゃんは怒ってくれているのかどす黒いオーラを醸し出しながら華生くんの頭を掴んでいる。