カセットコンロをテーブルに置いて、できあがった鍋を運ぶ。

 リビングでは、弥生くんと華生くんはスマホを見ていて、海くんは宿題をしているみたいだった。拓ちゃんは、少し離れたソファで寝ている。



「できたよ」



 鍋をカセットコンロの上に置くと、みんな一斉に顔を上げ、集まってきた。



「え? もうできたの?」



 海くんが、驚いた様子で私を見る。



「うわ、うまそう!」

「鍋とか久しぶり……!」



 弥生くんと華生くんがうれしそうにしていて、その光景が微笑ましかった。



「由姫、食べよ」

「ふふっ、うん。お皿持ってくるから待ってね」

「あ、俺するよ」

「俺がする!」



 動いてくれようとした海くんよりも先に、拓ちゃんが立ち上がる。