「お前ら、勝てないんだからやめとけ」
海くんが、ふたりを宥めるように肩を叩いている。
あはは……賑やかだ。
本の整理をしながら、ふふっと笑う。
「ちっ、俺らだってそこそこ強いからな!」
強いって……何がだろう?
弥生くん言葉が引っかかる。
「はいはい。わかったわかった」
「くそ……次期総長候補だからって、余裕ぶってんな……」
私は聞こえたある単語に、ぴたりと手を止めた。
今……なんて言った?
「次期総長候補?」
私の、聞き間違い……?
「いや、言われてるだけだよ。まだ決まってないから」
笑顔でそう返事をくれた海くんに、私は聞き間違いでなかったことを悟った。

