「ひっ……」
「た、拓ちゃん、そんな怖いこと言ったらダメだよ……!」
「だって、こいつさっきから由姫に偉そうだし……」
「そんなこと気にしてないから平気!」
「由姫がそう言うなら……」
しゅん……と、拓ちゃんの頭に、見えるはずのない耳が見える。
垂れ下がってしまったそれに、頬が緩んだ。
怒られた子犬みたい……かわいい、ふふっ。
拓ちゃんの頭をよしよしと撫でてから、私は弥生くんたちのあとを追った。
「な、なんでお前まで……」
資料室について、弥生くんが眉をひそめた。
今ここにいるのは、弥生くんと華生くんと私と……あと、拓ちゃんと海くん。
「あ? 由姫お前らカス双子とだけにさせるわけないだろ」
「俺もいるけどね」
拓ちゃんに続いて、海くんがそう言って笑った。

