総長さま、溺愛中につき。①〜転校先は、最強男子だらけ〜


「ひっ……」

「た、拓ちゃん、そんな怖いこと言ったらダメだよ……!」

「だって、こいつさっきから由姫に偉そうだし……」

「そんなこと気にしてないから平気!」

「由姫がそう言うなら……」



 しゅん……と、拓ちゃんの頭に、見えるはずのない耳が見える。

 垂れ下がってしまったそれに、頬が緩んだ。

 怒られた子犬みたい……かわいい、ふふっ。

 拓ちゃんの頭をよしよしと撫でてから、私は弥生くんたちのあとを追った。









「な、なんでお前まで……」


 資料室について、弥生くんが眉をひそめた。

 今ここにいるのは、弥生くんと華生くんと私と……あと、拓ちゃんと海くん。



「あ? 由姫お前らカス双子とだけにさせるわけないだろ」

「俺もいるけどね」



 拓ちゃんに続いて、海くんがそう言って笑った。