至高のショコラマカロンを君に捧ぐ

行動を見ていれば空気は読めないし、お人好しだし、イライラがつのってしまうのだけれども…今日一緒に居るだけで何故か気になってしまっている憎めない存在だ。

中島さんと景品の打ち合わせをした後、電気屋やデパートを巡る事になった。中島さんは事前に何人かの社員に聞き込みしたようで"要らないものリスト"も作っていた。

電気屋に行く前に通りかかったパティスリーはショコラマカロンが有名だと聞き、中島さんは立ち止まってしまう。

「ここのショコラマカロンが絶品らしいのですが、女性率が半端なくて入れなくて試してないのです…」

ガラス張りのイートインスペースには店外から見えるだけでも、女子が沢山居て私自身も狼狽えてしまう位にキラキラオーラを出している方々に埋め尽くされているように思えた。

申し訳ないけれども混みすぎていて私にも無理だったので、パティスリーから無理矢理に中島さんを引き離した。

次に電気屋に行った時、中島さんは不審な行動を始めたので何事かと思い、こっそりと見張って居たのだが…何やらゲームソフトを買っていたようだった。ゲームソフトは綺麗に包装され、紙袋に入れられた。

「何ですか、それ?親戚のお子さんにでもプレゼント?」

「わぁ、鈴木さん!…えと、これはその…」

中島さんが私を上手く撒いたと思ってメッセージアプリに入力しようとした時、私は真後ろに居たのだった。送り先を覗き込むと…課長だった。

慌てふためく中島さんだったが、私は朝に中島さんから「課長」と言う言葉がポロリ、と出た事により、大体の察しはついた。どうせ、来る途中に課長から電話が来て、子供へのプレゼントを買って来るように命じられたんでしょ?

「中島さん、深くは聞きませんけど…お休みの日まで人に気を使う事なんてないんですよ?自分の為に使わなきゃ!」

「そ、そうですよね…。八方美人はいけないですよね…」

私は中島さんに指摘をした後、居ても立っても居られなくなり手を引いて電気屋の店外へと急いだ。

「中島さん、さっきのパティスリーでショコラマカロン買いましょう!」