至高のショコラマカロンを君に捧ぐ

スイーツの話をしている時の中島さんは目が輝いていて、私の脳内では女子そのものかと勘違いしてしまう程。

食事が終わり、おかわりの紅茶と珈琲を一つずつ注文した後、中島さんの電話が鳴った。カフェの外へと消えた中島さんを見ながら紅茶を口に含む。

休日なのに電話やメッセージアプリが頻繁に呼出音を告げている。中島さんは社内では何だかんだ言われているが、人気者なのかな?

「はぁー…、最悪です。実は大学生の弟が居候してるんですが彼女連れて来たいから夜まで帰って来るな、と言われました…」

戻って来るなり、中島さんは意気消沈している。

「弟ならば、ガツンと言ってやるべきですよ!居候してるんだから、彼女なんて連れてくるべきじゃないでしょ?」

「それもそうなんですけど、言いずらくて…」

「弟に気を使っていても仕方ないでしょう」

中島さんは歳上のクセに本当にヘタレだと確信した。話を聞いてるだけで、お人好し過ぎてイライラがつのる。つのってしまうのだけれども───……

「ど、どうせ、買い出しは夜までかかるでしょうから私が居てあげます」

「いやいや、夜まで振り回すのは悪いですから良いです。準備が終わらなければ、また今度でも…って、時間を束縛するには変わらないですかね?」

中島さんはクスッと笑った後、スイーツのメニューを見始めた。ランチのデザートセットでは物足りなかった様だった。

私は一緒に過ごす内に目の前に居るヘタレスイーツ男子が気になってしまっている。