怒られるかと思えば、忘年会の幹事を任される事になるとは思いもよらず……。部長が持っていたファイルは前回の忘年会の日付や予算など事細かに書いてある忘年会用のファイルだった。

毎回、総務課が忘年会は仕切っているらしいが…まさかの幹事が回って来たとは。仕事中だと言う事を忘れてはしゃいでいた罰ですか?それとも、最初から私達にしようと決めて居たのですか?…と聞く事も許されず、皆に"よろしくー"と言われれば、断れない。

「仕方ないですね…やるしかないか…」

中島さんがボソリと呟く。私は仕事をそっちのけで忘年会の資料を見始めてしまうと…あれれ?

前年度も今年度も、幹事は中島さん+一名だったみたい。中島さんはお店探し、会計、忘年会の景品を毎回担当している。

「中島さん…幹事さん、ベテランなんですね?」

「………ベテランって言えば聞こえは良いけどね。毎回、ファイルがデスクに置いてあって…」

「そんなの押しつけじゃないですか?パワハラに近いですよ!ちゃんと断らなきゃ!」

「いや、それがね…断ろうと思ってたんだけど、毎回、スイーツで買収されちゃうんだよね。それが、コレ。今回の買収品」

ジャーンってな効果音が入りそうなくらいに先程のマカロンを見せ付けてきた。スイーツ男子なのは前々から知ってだけれども、買収される程とは知る余地もなかった。

この忙しい時期に忘年会の幹事なんて誰も引き受けたくないよね。ましてや土日の休日に景品を選んだりしなきゃいけないし。