年末調整の書類チェックや勤怠締めなど、11月は仕事がどっさりの総務課である。大手ハウスメーカー本社の総務課に務めている入社一年目の鈴木 向日葵(すずき ひまわり)も例外なく忙しくて、溜息ばかりが出ている。

控除申請したいから記入してるはずなのに保険会社の書類が添付されてない!これで何件目だろう…。

仕事の合間にストレス緩和のチョコを食べる。少しだけ癒された気持ちになり、仕事を再開するが…同じミスの書類ばかりで嫌気がさしてしまう。

各県にハウスメーカーの営業所があるが、年末調整や勤怠管理は全て本社で取り仕切っている。他にも各営業所の営業マンの交通費や立て替え代金などを精算したり、…と諸々仕事は立て込んでいるのだ。

そんな中、相も変わらずにのほほんと仕事をしている人物が一人居たりする。

その人物とは四つ上の先輩で、私の左隣のデスクに座っている中島 理生(なかじま りお)だ。中島さんは髪型は良くいえば無造作ヘアーで悪く言えばボサボサで、仕事が溜まっているのにも関わらずにマイペース。時には終わらない仕事が私に回って来る事もある。ただでさえ忙しくて疲れが溜まっているのに、非常に迷惑な話である。

添付書類を郵送して欲しい、という内容のメールを入れ忘れた各個人に送付していると中島さんは休憩し始めたのか、色とりどりの小さなマカロンをデスクに並べ始めた。

いつも気になってはいたが、あのマカロンは食玩?それともガチャガチャで集めたのかな?

私が不思議に思っている小さなマカロン達は普段はプラスチックのケースに入っており、デスクに丁寧に飾られている。