こんな空腹じゃ寝れないって言うから、
翌日むくまないように、薄目のお出汁でうどんを作った。
その分とろろこんぶは少し多めに入れてあげよう。これくらいしか、してあげられることないし。それにこんな質素な夜食でいいのかな?
「やった、いただきます! 差し入れもほんとありがとな」
うっま! マジ生き返る~って、大したものじゃないのにいつも美味しそうに食べてしっかりごちそうさましてくれるから、そんな不安もなくなった。
「そういえば今日麻凛になんか言われた?」
どきっ。
気付かれるわけにはいかないのに。
「別に何も、ないよ」
「ならいいけど、何かあったらちゃんと言えよ。あー見えて、きついとこあるから」
「うんわかった。ありがとう」
何度か共演してるし、麻凛ちゃんのことは公私ともによく知ってるんだ。
彼女の失態は、彼氏のナツ君がびしっとしつけとくから……みたいなことか。
でももう麻凛ちゃんのことは全部忘れて、今はナツ君の喜ぶ顔だけ見てたい。
女の子扱いされなくても、雑用係でも、役に立ててるならそれだけで嬉しい。
「そうだ、いちごあるんだった。ナツ君の分とってあるよ」
てきぱきと、冷蔵庫からイチゴを持ってきた。
「食べさせて。あーん」
で、できる。大丈夫。
なんでもないことみたいに甘えてくる余裕と意味ありげな間に怯えてはいけない。
口の中に放り込むだけだもん。
でも手を伸ばしたらぱくっ、と、指先までかじられた。
「すげー甘くておいしい」
「ゆ、指……」
ナツ君は満足そうな笑顔なのに、私だけ棒立ち。
もしかしたら都合のいい女の子って、こんなふうに量産されていくのかな。
だってナツ君を意識しないなんて、もうどうあがいたって無理だって気がついた。ナツ君は魅力的すぎて、それを自分でもわかりすぎている。
そんないけない男の子なんだ。



