「今日も撮影長引きそうですね。差し入れがあるので、よかったらあっちにあるおにぎり食べてください」
精一杯笑顔を作ってみたけど、自分がどんな顔をしてるのかもうわかんない。
「紗知ちゃんも一緒にあっちに行こうよ。私の差し入れもよかったら食べて?」
「えっ、そんな……」
腕を強引に掴まれて、敷居が高すぎる撮影班の輪のなかに引っぱられる。
向こうではちょうど撮影が一段落ついて、次のシーンのための準備をしているところだった。
ご飯休憩する時間ができてみんなで和気あいあいとしてる。
そんな空間にほぼ部外者の私が入っていけるわけないのに。
しかも麻凛ちゃんの差し入れってキッチンカーだ。熱々のラーメン。
みんな夢中になってその湯気に顔を埋めてる。
凍える季節の夜の撮影にはうってつけ。なのに私、おにぎりなんて冷え冷えした地味なものを持ってきちゃった。



