「でも四つ葉のクローバーなら探せるかも」
「そんなの無理だよ。冬なのに」
「あるって。みつけたことあるって教えてくれたのは紗知だよ」
「そんなことあったっけ?」
「手紙に書いてた。たぶん5年生くらい」
しゃがみこんで辺りを見渡すナツ君。
私、そんなこと手紙に書いてたんだ?
よく覚えてたね。
じゃあほんとにあるかも?
私も隣にしゃがみこむ。
家で習ったしゃがみ方で。
「手、繋ぐ?」
ふふっ、といたずらな笑顔で顔を覗き込まれる。
「並んでるし、広場に背中向けてるから誰にも気づかれないよ」
返事もしてないのに勝手に手を取って、しっかり指を絡めてくるから、耳まで熱くなる。
「これ、恋人繋ぎっていうんだよ。こんなのいけない気がする」
「恋人になればいいじゃん」
「青山一佳君に彼女なんかいたらダメだよ。ファンを大事にしなきゃ」
私はマネージャーなんだから、あったかい大きなこの手を離したくない、なんて思ったらいけない。
「那月ならいいの?」
「どっちも一緒でしょ」
笑ってごまかしたけど、ほんとはもどかしい。
蘭ちゃん、私ちょろすぎだよ。
だってナツ君にもう夢中みたい。
そよそよと風に揺れるクローバーは、どの葉も小さくて、とてもみつけられる気がしない。ちょっと弱気になってきた。
時間ギリギリまで探したけどタイムアップになった。みつからないのが当然だし、簡単にみつかったらありがたみもないかもね。



