「紗知が今感じてる戸惑いだって、幼なじみに対する気持ちが恋に変わろうとしてるからかもしれないよ」
「こ、恋?」
「うん、だから過去の彼じゃなくて、今の彼のことをちゃんと知るべきなんじゃないかなって思う。相馬君が何考えてるのかわかんないとこは厄介だけどね」
「蘭ちゃんすごい……元カレが10人くらいいる人みたい」
「そんくらいはいるかもよ?」
「し、師匠!」
天を仰ぐような気持ちでみつめたら、得意そうに足を組んで、長台詞を言いきった喉をカルピスで潤してた。
それにしても、私が恋なんて。
それもキラキラに進化したナツ君に?
「もし……もしだよ? この気持ちが恋だとしたら、もうすでに私って可哀想じゃない? アニメやゲームの世界でだって片想いで終わるのに、リアルな人生で恋が成就する、なんて隠れイベントが起こるわけないよ」
彼氏の一人もできたことないし、告白したこともされたこともない地味な17年間を嫌でも振り返ってしまう。



