花火大会開始時刻。
空にはきらびやかな花火が次々にうち上がり始めた。
綺麗だなぁ。
大好きな人、大好きな人たちと一緒に見られるなんて夢みたい。
それぞれのカップルが自然に散らばって、ひととき二人きりの時間を過ごす。
テラス席に並んで座って、ナツ君とはずっと手を繋いだまま。
どうしてか、こんなに綺麗な花火も空も、別に見なくてもいいような気がしてくる。
こんな贅沢めったに経験できないのに。なんだか片桐さんに申し訳ない。
だけどナツ君も同じことを思っていたみたい。
「花火大会はこれからいっぱいあるけど、この瞬間ってもうないから」
いつもの優しい笑顔で見下ろされて胸がキュンとなる。
「だから、今キスしたい」
目を閉じても空が明るいのがわかる。花火が次々に打ち上がって、私たちを照らしてる。



