「ごめんね、舞台挨拶を控えてたのに迷惑いっぱいかけて」
「いや、実はあの時紗知のことずっと探してたから」
私に招待状をくれたのは、実はナツ君だった。絶対来るって思って、ずっと探してたんだって。
舞台の袖から場内を見渡してもみつけられなかったから、挨拶の直前だったけど劇場を出たみたい。
「試写が終わったらこの仕事にけじめがつくから、その時はまたちゃんと付き合おうって直接言うって決めてたんだ」
思わず込み上げてきた涙を、優しい笑顔と手のひらで受け止めてくれた。
「寂しい思いさせてごめんな。その分いっぱい甘えていいよ。紗知なら何でも許……って。え、なに?」
そう言われたからナツ君のスウェットの中に直接手を入れて腰の辺りにしがみついた。
「今日はここで寝たい」
「それが俺にして欲しいこと?」
こくんと頷いて、素肌の背中に手を回して胸に頬をくっつけた。
どうしよう。
なんて大胆なことを……。
ナツ君に触れてしまった。
広い背中、すべすべな肌。
この匂い大好き。
ずっと包まれてたい。
ナツ君は、大きくてあったかい。
「いいよ、いっぱい甘えて」
どきどきが、とくとくに。
とくとくは、まどろみに。
顔が見えないから緊張しなくてすむ。
助かる……。
「……拷問じゃん。次覚えとけよ」
優しい声でナツ君が何か言ったけど、もうよく聞こえない。
髪を撫でられて、安心してしまう。
おやすみナツ君。
ずっと抱きしめてて。
もういなくなったりしないでね。



