「なんでそんなに俺のこと避けんの?」
「それは……」
それは……好きだからだよ。
この気持ちが全部バレちゃうのが怖いからだよ。
それなのにこの状況はあの時と同じ。
ナツ君の大きな手が私の頬を包んでいて、目と目を合わせていて。
ナツ君の瞳も髪も肌の色も全部わかる距離。わかりやすい私の気持ちなんかすぐに見透かされてしまいそう。
ただひとつ違うのは、ナツ君が笑顔じゃないってこと。苦しそうで悲しそうで、私まで切なくなってしまうってこと。
「俺のこと好きで好きでたまんないくせに避けんなよ」
またぎゅっと抱きしめられた。
「10年も離れてたから平気だと思ってたんだけど、一回触れたらもう無理」
ナツ君の胸にぴったり当てた耳には、
とくんとくんと静かに強く脈打つ鼓動が聞こえてる。
テレビや雑誌の中のナツ君はいつもクールでかっこよかった。
別れに動じてるふうには見えなかったのに。



