無視されたと思ったのか、リビングに戻ってしまったナツ君の元へ急ぐ。
あれを触られるのはさすがに恥ずかしい。
常に焦ってるし、なんだかずっと必死だ。
「取りに来たけど……ど、どこかな」
うつむいたまま。
視界にナツ君の胸元が入ってきて、それだけでどきどきする。
「眼鏡も持ってけば?」
「うん」
反射的に顔を上げてしまった。
こんなの、あの時と一緒なのにって、その後で気がついた。
再会したあの日、ナツ君が顔の横で眼鏡をぶらぶらさせてたこと、なんでもっと早く思い出さないかな。
ほらね、眼鏡はうんと上。
意地悪だから簡単には渡してくれない。
手を伸ばしても届かない。
慌てて焦って案の定、スウェットの長い裾を踏んでバランスを崩した。
「あ、っ!」
「避けんなよ」
胸のなかに倒れこむ前に抱きしめられてしまった。



