それにしても寝室を独り占めしちゃうなんて、ほんとにごめんね。
でも眼鏡がなくてよかった。
ここにはナツ君のものしかないんだもん。
迂闊なものをみつけたら、どきどきするか泣いちゃうかのどっちかだ。
だからベッドに早々と潜り込んだ。
でもこれがいちばんダメだった。
だって視力はごまかせても、香りはごまかせない。
この部屋は大好きな匂いでいっぱいで、ナツ君に抱きしめられてるみたいな気持ちになる。
あの頃を思い出してしまって、これまで我慢してた涙があふれてくるのを止められなくなった。
ダメだよ、泣きやめ。
頑張れ私。
ベッドから出て、鼻をつまんでフローリングで寝よう。
泣きはらした顔を見られたら、今までの努力が台無しになってしまう。
涙さえ止まればどうにかなる。



