「そんなこと言っちゃダメだよ。ナツ君には、ナツ君を必要としてる人たちがいっぱいいるのに」
「わかるけど、そういうのどうでもいい。俺は紗知が傷つくのがいちばん嫌だから」
「それは嬉しいよ。でもやっぱり正しくないんじゃないかな」
下を向いてそうこぼしたら、自分がすごく惨めになってきた。
「私だって一佳君のファンだもん。いい作品をこれからもいっぱいみんなと作り上げて欲しいし、こんなことで今までの努力が無になるなんて嫌なの。もうナツ君は誰かの希望や支えなんだよ。それを楽しみにしてる人たちに応え続けなきゃいけない立場でしょ?」
ポロポロと涙がこぼれた。
なんでこんなこと言ってるんだろう。
言いたいことが言えなくて、言うべき言葉はみつからなくて、言わなくていいことだけ、ベラベラしゃべってる。
なんの覚悟もできてなかった証拠だ。



