「よかった。やっと笑顔見れた」
その手を引かれてナツ君に抱きしめられた。らしくない、長い深いため息。
ゆっくりと、じんわりとその体温が伝わってくる。
「怖い思いさせてごめんな。俺の弱みを握られてあいつに従うしかなかったんだろ?」
「ううん違うよ。ナツ君には関係ないことだよ」
なんて言ったけど、ほんとは泣きそうだった。
「気が狂うかと思った。ほんと無事でよかった」
男の子の力ってもっとずっとすごいのに、なんでナツ君はいつもこんなに優しく抱きしめてくれるんだろう。
「もしかしてこの寄り道って気分を変えようとして? ナツ君って雨の匂いとかわかるタイプだったっけ?」
「うん。なんとなく降るなって思ったから一緒に見られたらって」
一緒に、って言葉に胸が高鳴る。



