「ていうか、ここってどこだろ」
相馬君にふらふら付いて歩いてたせいで迷子になった。
駅からそう遠くはないはずだけど、区画がちょっと外れたら、夜ってこともあって方角がわからなくなった。
ナツ君はマップを開いて現在地を教えてくれた。家までは歩いても20分かからない。
仕事用のスマホには位置情報共有アプリも入ってたみたいで、それで私の居場所もわかったんだって。
「俺のこと避けてたのはあいつのことが関係してる?」
「う、うん」
ナツ君の前では、はぐらかすなんて無意味だから正直に答えた。
「彼氏できたって聞いてすげー焦った。はぁ……余裕ない。だせー」
柄にもなくため息をついたナツ君の顔が赤い。そんな顔を見てこっちも胸が疼く。私のためにそんな顔しなくていいのに。
でもナツ君は何か見つけたみたいに空を見上げて深呼吸をした。
それからキャップとマスクを付けるとまた私の手を取った。
「ちょっとだけ寄り道しない? おいで、こっち」
「何? どこ行くの?」
「いいからついてきて」
ナツ君が笑顔だったから、不安なことなんてもう何もない。



