嫌だ、そんな人とキスなんかしたくない。頑張って抵抗してみたけど、相馬君はやっぱり逃がしてくれなさそう。
でもぎゅっと目をつぶったら、ふっと強い力から解放された。
よかった……やっぱりわかってくれたんだ。
自分を抱きしめていた手をほどいて、そっと目を開けた。でも彼がいたはずの場所には、肩を弾ませて息を切らしたナツ君がいた。
ナツ君は相馬くんの目の前で堂々とキャップとマスクを外した。
「はじめまして。君、相馬君だよね、この前はどーも。会えて嬉しいよ。俺が那月で一佳だけど、もしかして君もずっと俺に会いたかった?」
「は? なんで……」
ナツ君はそれ以上彼に返事をさせなかった。胸ぐらを掴むと、軽々と壁に押し付けた。



