「紗知、今頭のなか別のこと考えてるでしょ、何が見えてる? 一佳君のどんな表情が見えてる?」
「言えない……絵にもできない」
「なるほど。そういうことをされたわけね」
「ナツ君があんなに悪い子だったなんて、こっちはそれなりにショックなんだよ」
だって車に鍵をかけて、しかもお仕事の場であんなこと。
本命の麻凛ちゃんに許されてるのをいいことにやりたい放題なんて最低男子のすることでしょう?
「でも私はそんなナツ君のことを拒否することができなかったの。あんなひどいことされたのに、ナツ君のことが好きってことを嫌ってくらい自覚しちゃうなんて……」
それに関してはとっても切ないし不甲斐ない。
「あれ? お仕置きされて紗知が謝って仲直り。で、付き合う流れじゃないの? だったら相馬君可哀想に。ってだけでこの問題終われるよ?」
「まさか。それは絶対にない!」
だってナツ君は麻凛ちゃんと付き合ってるんだもん、って言いそうになって口を塞いだ。
麻凛ちゃんが必死に隠してることを、一般人がうっかり口にするなんてことがあったらダメ。
だからそれだけは禁句だって、ずっと自分に言い聞かせてきたんだから。



