「隠さないでちゃんと顔見せてよ」
両手はあっけなく拘束されて、無防備になったところにキスが降りてくる。
「やだ、ナツく、っ」
ついに鎖骨にまで熱い息が。
…………ん?
もしかして電池、切れた?
そういえば、気絶するみたいに寝る人だった。
とりあえず、深呼吸を繰り返した。
落ち着いて、紗知。
寝落ちするくらいだから、これはいたずらの延長だ。
彼は麻凛ちゃんの恋人。
本気にしちゃダメ。
そうわかってるけど、初めてのキスがまさかこんなに刺激的だなんて考えもしなかった。
「はぁぁ……」
解放されたら腑抜けになっちゃった。
だけどかわいいなんて……あんな声で言われたら真に受けちゃうからやめてほしい。
なんか悔しい。
仕返ししないと割に合わない。
この寝顔も、さっきの表情もすぐラフ画にしよ。
しっかり描きあげよう。
初めてを軽々しく奪われた元は取るからそれを見て羞恥心にかられちゃえばいいんだ。
でもねナツ君。
あんまりドキドキさせないで?
身体中が火照ってたこと、絶対に忘れてよね。



