「辛かったね、見たくなかったよね、ショックな気持ちすごくわかるよ。だけど彼は芸能人で、それも俳優さんで、そんな人を好きになってしまったらそこは乗り越えなきゃいけない壁かもしれないよ」
寒すぎてお互いのポケットになぜか手を突っ込む私たち。
つまりしっかり向き合って話しをしてるってこと。
「……そっか。これからも試練は続くんだ。この程度で動揺してたらマネージャーとしても用無しなんだね」
「そうだよ、酷なことを言うようだけど、一佳君みたいな華のある演技派の俳優さんには遅かれ早かれベッドシーンもあるかもしれないし」
「……そっか。その時どーんと受け止められてこそ、ほんとのマネージャーなんだ。なんならプレッシャーや緊張をほぐせるくらいじゃないといけないの?」
「そうだよその通り。一佳君もきっと、紗知がそういうのを受け入れられる人だったら仕事がしやすいと思う。ただ、つらいならマネージャーなんか辞めていい。別に頑張らなくていいよ。それは紗知の自由じゃないかな」
蘭ちゃんのまっすぐな目にはいつだって説得力がある。
「……蘭ちゃんありがと。私やっぱりナツ君の力になりたい。私情を挟まないで、マネージャーとして頑張ってみたい」
「うん、紗知が決めたならそれでいいと思うし応援する」
蘭ちゃんが励ましてくれたから、ナツ君のキスシーンに慣れてみせるって今決めた。



