3年1組 教室
新しい顔ぶれの中に見慣れた顔もいくつか並んだ初めてのホームルーム。
さっき始業式の後の学年集会で知らされた我らが担任が教卓に現れる。
メガネをかけたおじさん、、
っていう印象プラス
「げ、、この人、」
「京架、この先生知ってるの?」
「ん〜、」
知ってるも何も、2年前に高校入学したての私たちの図書館オリエンテーションで、「君たち本読まないでしょ」だの「だから勉強できないんじゃないですかね」だの、散々コケにしてきた先生じゃん。
今日まですっっっかり忘れてたのに、顔を見た瞬間思い出した。
まさか担任になるなんて。
「樹木太郎 キキタロウです。変な苗字だなと思ったでしょ。私も、思ってます」
確かに思いました〜。
しかも先生、自分でも思ってんだ〜。
そんな担任の自己紹介は、驚くほど音ちっこく続いて。
まあ長いのなんのって。
「君たち、去年はちゃんと勉強した??受験勉強は今年からすれば良いなんて考えてる人はもう既にアウトだからね」
もう、話し方は一昨年のまんまだし。
やっぱりあの時のあの先生だって確信。
「入学してから勉強怠ってたなって人は、今から頑張ってください。手遅れだけどね。手遅れだけど!やらないより良い!まあ、やらなかったら君たちが損するだけだから」
おおぅ、、
図星だし、言ってること間違ってないんだけど
なんかめっちゃ嫌な気分、、。
「きょーかー、、この先生やばいね」
後ろに座る守山も同じ気分らしく、小声で言ってきた。
「ほんとにね」
私も結月に小声で短く返す。
もっと不満を言いたいとこだけど、今は静かに聞いてないと。
始業式そうそう怒られたらやだもんなあ。
「朝はみんなちゃんと勉強しようね。家じゃどうせ勉強しないから、朝早く来て教室でクラスメートが勉強してるの見て自分を焦らせるんだよ」
「え、むりむりむりむり」
後ろから勢いのいいささやき声が聞こえる。
「守山うるさい」
「ごめんなさーい」
私が冷めながらまたも小声で注意すると
反省してみたいで静かにする守山。
担任の話はまだ続く。
そろそろ眠たくなってきた、、。
「ちなみにね、私、観察力すごいから。春休みのうちに君たちの顔写真と名前のリスト作ったんですよ。だからもう顔は覚えてますよ!あと一ヶ月もすれば、君たちがこの時間には誰と何してるなあとかわかるようになるんですよね」
いやもう怖え!!


