名残惜しく離れた唇は

甘くしびれるような感覚だけを残す。



「…い、いまそれ言うの…?」

「ははっ、せっかく気持ちよくなれるところだったのにね?」

「………。」

「ごめんって紗和ー冗談だよ半分だけ冗談ー」



飄々とからかう伊織に

苦い顔をして見せたけれど



「…で?何があったの」

「……、」

「紗和。話せる?」



…高見くんに言われたことが、どうしても頭から離れなかった。