「問題は決め方ですよねー…。みんな何がいいですか?」
「好きな人同士でしょやっぱり」
「それ絶対うるさいじゃん。成績上位者から好きなところ埋めていくのは?」
「それこそ不平等だと思うけど!」
「あ、ちょっと、みんな静かに…」
「野木ちゃん決めれば良くねー?」
「えー、それもなんか嫌じゃん」
「ちょ、ちょっとみんな静かにしてくださいっ…」
野木先生は今年初めてクラスを受け持つ、若い女の先生だ。
みんなをなだめようとするけれど誰も聞いてない。というか彼女自身があたふたして半泣きである。
この状況はちょっとまずいと思うんだけど…、
――その時だ。
「――っ!」
――…ふと伊織と目が合って
彼がわたししか気づかないように、アイコンタクトをしたのである。