「っい、おり…!…んん…っ…」
――…キスと呼ぶにはあまりにも猛々しかった。
吸い込まれそうな瞳と視線が交わって、わたしは彼に身をゆだねる。
それを分かったというかのように、そして声を出すことさえも許さないと言うかのように、わたしの唇がむさぼられていった。
再び視線が交わったその時、彼は一瞬目を細めたのちにさらに舌を絡ませた。
…誰か来るかもしれないのに。
…決してばれてはいけないのに。
喉元がぞくりとする背徳感を知りながら、その甘い甘い魔法にかかっていく。
呼吸をすることもままならない、自分の感覚が伊織の手のひらにあるようなキスだった。
「っ…はぁ…、っはぁ…」
わたしの口内をひとしきり甘く味わったのち
やっとその唇を離してくれて。
わたしの荒い息だけが響いて、胸の奥が甘く疼いた。