碓氷くんと、高見くんと、伊織。
三人ともその端正な顔立ちと人気者の性格から、学校では「イケメン三銃士」なんて呼ばれている。
クールで冷静沈着な碓氷くん
温かさと爽やかさを併せ持った高見くん
そして、同級生の女子いわく類いまれな麗しさとどこかミステリアスさを持つ伊織。
彼らが仲良くなり、ともに行動するようになるのはむしろ必然だったのかもしれない。
「なぁ白石さん」
「なに?」
「…。いや、何でもねぇや」
「そっか」
彼はわたしのことを「委員長」とは絶対に呼ばない。
…どうして委員長と呼ばないのかと聞くのも可笑しいので、その理由を聞いたことはないのだけど。
(…伊織…っ)
胸がつかえるような苦しさを持ったまま
教室へ踏み出す一歩は鉛のように重かった。
…それでも仕方ないと、暗雲が伴った心に蓋をする。
高見くんがまだわたしを見ていたとは、気付けないままに。