(…どうして、)
心配そうに首を傾ける彼に
わたしは思わず目を見開いてしまう。
…彼は昨年出会った時からそう。
小さなわたしの変化に気付く、不思議なひと――…。
「紗和ちゃん、大丈夫…?」
「大丈夫だよひな。勘違いさせてごめんなさいね」
「ううん!紗和ちゃんが大丈夫ならいいのっ」
「………、」
横で声をかけてくれたひなに微笑んで答えると、彼女は心底安心したような表情を見せた。
けれど、高見くんは違って納得していない様子だった。
彼もまた碓氷くんと同じように、…いや碓氷くん以上に
わたしや伊織のことを、見透かしているのではないかと思ってしまうのだ。