この状況のきっかけは、クラスメイトの何人かがわたしに「勉強を教えてほしい」と言ってきたことだった。
全国にも名をとどろかせる女子バスケ部の子たちで、勉強についていけず悩んでいると。
困っているときは誰だってあるしお互い様だ。わたしは快く了承し、休み時間にミニ講座を開いていた。
かいつまんで、けれど細かく的確に。人に伝える難しさと奥深さを学びながら、楽しく教えていたのだけれど。
最初は数人と小ぢんまりやっていたのが、いつのまにかとんとん拍子で
教壇に立ってクラスメイト全員の前でやるようになっていたのだ。
「「委員長ありがとうー!!」」
パチパチパチパチ――…
(緊張したけど、みんな分かってくれたみたい…)
本当に恐縮なことに拍手が起こり、わたしは緩む口元を隠そうともしないまま一礼をする。
わたしにきっかけを与えてくれた女子バスケ部のみんなは、拍手しながらピースサインをくれていて
友人の佐伯ひなは目を輝かせて拍手してくれていた。
なんだかんだで今回も、みんなの役に立てたのかもしれな――…、
「委員長さーん。
多分、こっちの解き方のほうがわかりやすいと思うけど?」