目を閉じると、今までのことを思い出す。
伊織が告白してくれた時のこと。
初めてキスした日のこと。それ以上のことをした日のこと。
彼の無償の愛に、溺れ続けていた、奇跡の日々を。
「あとね、繰り返しになるけど、…袋を拒否した時のようなことは絶対にもう二度としないって、誓って」
「っ…、はい」
「クラス全員があなたを心配していたし、あなたの傍に居た女の子は泣いていた。金髪の子は自分の無力さに悲痛な表情をしていたわ」
「ごめんなさい…っ」
「白石さん委員長なんですってね。あなたがみんなに信頼されて、クラスに欠かせない存在だってことは野木先生から聞いてる。すごいことじゃない。
あなたがいるから笑顔になれる人がたくさんいるの。助かっている人がたくさんいるの。…だからもう二度と、“わたしなんか”なんて思わないで」