「碓氷くん!」

「おはよう。さすが委員長だ」



後ろから呼ばれ振り返ると、クラスメイトの碓氷千尋(うすいちひろ)くんの姿があった。


伊織より少し大きい180㎝くらいの身長。黒縁めがねが特徴的で、制服も着崩すことなくしっかりと着用されている。

碓氷くんは知性を身にまとったような人だ。聡明で頭の回転が速い人だと話しているだけで分かる。



「剣道部っていつも朝練あるんじゃ…?」

「あぁ、今日から試験前期間で朝練がないんだ」

「そっか、お疲れ様」

「ご丁寧にどうも」



彼は2年生ながら剣道部の主力を担っており、個人表彰されているのも何度も見ている。

クールで物静かな印象だけれど、笑顔はとても柔らかい素敵な人だ。


そんな彼は


「昨日の数学、伊織が必死になって委員長とは違う解き方を探していたよ」

「…、そうなの?成瀬くんいつも涼しい顔してわたしを超えてくるんだもの」



伊織が一番仲のいい友人でもある。