――…わたしは、最低な人間だ。



伊織の手を感情的に離して

それでもなお、探してくれた彼を傷つけて


挙句の果てには、絶対に守らなければならなかったことを、守れずに。



「……ほんとに、何もないの…っ」



――…自分の手で、失くしてしまったの。



“紗和”

…伊織。


“紗和、愛してる”

…伊織、



「…じゃあ俺、チャンスある?」

「え…っ?」


「白石さんのこと気になってて。

――…好きなんだ」



…大好きなの…っ。