「…ごめん、図書館で勉強してたの」

「っ一言で良いからメッセージ入れてよ…!どれだけ心配したと思ってんの!?」

「…うん。ごめんなさい」

「…はぁ…」



…伊織が吐いたため息が、空気の重さを匂わせている。


分かっている。当たり前だ。

――…伊織、怒ってる。



「紗和、俺に何を隠してる?」

「…何も隠してなんかいないよ」

「言ったよな、ちゃんとお互いの気持ちを言葉にしていこうって。ずっと一緒に居るんだからって。でも今日の泣いた理由だって言おうとしなかった」

「………。」



ねぇ、伊織、



「俺、紗和が分かんねぇよ。

これじゃ一緒にいる意味あんのかよ…っ」



わたしだって、分からないよ。