「実って良かったじゃない。一途ねぇっ」

「ははっ。雛絵先生――…」



ピンポンパンポーン――…


「二年C組白石紗和さん、至急応接室までお越しください。繰り返します、二年C組白石紗和さん…」


(っ、いけない)



放送がかかり、ハッとする。

…横田先生に会いに行く途中だったんだ。


その後の彼と彼女の話を聞くことはなく

そっと長い息を吐くと、応接室に向かって駆けた。



心が、視界が、色を失くしたまま。