「では、行きます。気を付けて。」

迫力ある警部が、私と犯人の両親に呼び掛

けた。またまた何のきっかけで自分が行く

事になったのか分からないが、テレビにい

きなり出て叱られている所を、急に警部さ

んが来て「被害者の女性が、君に会いたが

っている。」と言ってすぐに警部さんに手

を引かれた。

被害者が自分に何を求めているのか分から

ないが、紗矢さんのためにもとりあえず行

くしか無かった。

行ってみたら、なるようになる。

そう信じていた。

すぐ前にいる老夫婦はすすり泣いて、周り

にはもうずっとサイレンが響いている。

ドンドンドン

警部さんがドアを叩く。そしてドアノブに

手を回し、私達は中に入った。

玄関のすぐ左が、リビングらしく、それ以

外の所は電気が消えていた。

警部さんは左の扉をまたノックする。

「どうぞ、、」

中から、弱々しいがはっきり聞こえる声が

した。きっと美樹子さんだろう。

「では、失礼するよ。」

警部さんが扉を開ける。

「まあ!なんて事、康則!?」

「お前、、」

中にはテレビがあり、その前にソファー、

以外と奥行きが広くてベッドもある。台所

とテーブルには食事の後があった。

そして、ソファーにいる男の顔が見えた途

端、老夫婦は声を上げた。近くに銃もあ

る。

その男の顔ほひきつっていた。

また、テーブルの近くに美樹子さんがい

る。暗い雰囲気の痩せている女性だが、表

情は男よりずっと冷静だった。