詩集『心ゆくままに』



       『人魚姫』



声とナイフで抉られるような痛みと引き換えに得た愛の形

その結末を誰が知ると云うのでしょう

命の意味をその答えを知ってるのはきっと神様なんて誰かが言うんだろうな

あの時に目の前の人を救って

あの人を愛してしまったことは罪なのですか?

この愛が実らなければ

この命は泡になって消えてしまうというのに

愛すること

愛されること

それは全く違うもの

あの人の幸せと命を大切にすることも愛なんだね

願った形ではないけれど

理想としていた結末ではないけれど

愛した故に貴女は愛となって消えてしまったわ

それはとても悲しくて

とても綺麗ね

その人を好きになって愛して良かったじゃない

想いに満ち溢れているじゃない

なんて儚い物語でしょう

そこに貴女の幸せがあるとするなら

その人を愛したこと

その時間はかけがえのないもので何よりも輝いていたわ

まるで悲しい結末なんてなかったかのように

泡となって消えてしまった貴女は風となってその人を包むの

その人を愛し続けるの

それはなんと素敵なことでしょう