『でも、悠人って呼ぶだけでも緊張するのに、タメ口なんて…』


言いかけた私の唇に、先輩はいきなり軽くキスをした。


え…?


その行動に、瞬きも出来なくて、目を見開いたまま、体も固まってしまった。


悠人にとったら、キスは挨拶か何かなの…?


慣れない私には、心臓が止まるくらいの衝撃なんだけど…


『あきらめた?』


また、ちょっと意地悪そうに微笑む悠人。


こんな子どもみたいな顔もするんだ…


時々見せるギャップに、ドキドキする。


『…わかった…タメ口にする…』


『…いい子だ』


悠人は、優しく頭を撫でてくれた。


こんな…幸せでいいのかな…


いや、ダメダメ。


まだ、完全に信じるのはちょっと怖いよ…


悠人は、着替えをしに、自分の部屋に戻った。


今日は、私の美容院が休みの日。


夕方に、悠人と一緒にそこに行く予定。


オーナーに話をしてくれるって…


忙しいのに、私のために時間を作ってくれたんだ。