私は離れていった詩優の手をぎゅっと掴む。
逃がさないように。







「だからね、詩優……
来年は私のチョコ、一番にもらってほしい……です」




雷龍のみんな、詩優も特別だよ。
でも……詩優はね、誰よりも特別なの。特別の中の特別?みたいな…。





いつも私を助けてくれて、そばにいてくれて。





本当に本当に大好きなの。
だから、来年は……来年こそは。感謝を込めてチョコを渡せたらいいな。





詩優は私を見つめて瞬きを繰り返す。
それから数秒後に




「!?」




目を見開いて、かなり驚いているようだ。




「あ、えと……無理にとは言わないから……嫌だったら全然───」


「ほしい」



詩優の声が上から降ってくる。










「来年、待ってるから」



今言ったこと忘れんなよ、と付け足して優しく笑う彼。
ドキっ!!と心臓が跳ねる。





あまりにも優しい表情だったから…。