世界No.1の総長と一輪の花 1.5






「……帰るか」



その言葉に頷くと、詩優は歩き出す。
私は彼の後をついていく。




その後ろ姿がなんだか、悲しそうに見える。
…いつもと違う。




それに、いつもより歩くのが早くて。
小走りで詩優を追う私。










…いつもゆっくり歩いてくれていたのは、きっと私に合わせてくれていたんだろう。
それでも、少し早く歩く時は……私の手を取って歩いてくれる。




優しい詩優。







なんて思っていたらドンッとぶつかった。




「…ごめん」




ぶつかった人は詩優で。
急に立ち止まったみたい。




それからくるりと詩優は後ろを向いて、





「……やっぱ無理。誰にもチョコ渡すな…」





熱い手でぎゅっと強く手を握られた。