世界No.1の総長と一輪の花 1.5





詩優はなぜか数秒間動きを止めて。
それから、パンっ!!と自分で自分の頬を強く叩いていた。




「!?」




あまりにも急な行動だったからびっくり。
かなり強く叩いていたから痛そうだ……。












詩優は数回深呼吸を繰り返してから



「…チョコ、守れなくてごめんな。誰かに渡すつもりだったんだろ?」




今度は辛そうな表情へと変わる彼。




「……あのチョコは…」




“みんなに渡したかったの”




最後まで言うのをやめてしまった私。
渡すものが何もなくなってしまった今、わざわざ言わなくてもいいような気がしてしまったから……。




不自然に言葉を切ってしまったから、慌てて




「助けてくれてありがとう…!!チョコはまたつくるから大丈夫!!」




さっきのお礼と、大丈夫だということを伝えた。




「…おう。今度は渡せるといいな」




そう言った詩優の声は少し低くて。
やっぱり表情も暗いまま。